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こども、アート、日々。

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ドリームコンサート・ファイナル!

宇治市立平盛小学校では、年に1回、「ドリームコンサート」と称して、子どもたちがアーティストと創作活動を行い、最終日には小学校の体育館を会場にしてコンサートを開催するという取り組みを2005年からされてきました。

第1回目から、お手伝い要員として、また観客として、毎年このコンサートを楽しみにしてきました。そこにはたくさんのドラマや葛藤、創造、そして最後には必ずやさしくてあたたかなコンサートがあったからです。今回は5回目にして、そのファイナルコンサート。

アーティストは、野村誠、林加奈、ヒュー・ナンキヴェル。今回対象となった6年生が1年生のときに作った曲をもとに再編し、さらにその過程に1年生も加わるという構成でした。

アーティストのパフォーマンスとこれまでのワークショップの振り返りがあり、
そして今回のテーマの「ひらもり版ホエールトーン・オペラ」がはじまりました。
6年生と1年生がつくった18曲が、ひとつひとつ丁寧に紹介されながら演奏されます。
そのどれもがユニークで、素敵な曲でした。

ラスト、プログラムには「次は、どこへ?」と書かれているだけで、曲もできていないとのこと。
でも1年生に楽器がくばられ、演奏がはじまります。太鼓の前に構える、6年生の女の子。
彼女の合図ではじまるはず・・・が、音楽がはじまっても、1年生がノリノリで演奏しても、
太鼓のバチが動かない。かといって退場することもなく、バチを放すこともなく。
加奈さんが彼女に声をかける。動かない。ピアノによっかかってみる。ヒューさんの演奏を眺める。太鼓をちょっとさわってみる。天井を眺める。そんなことを繰り返している彼女。

そうこうしているうちに、音楽が盛り上がりはじめ、野村さんが紙切れをぶちまけて、一面の花吹雪になり…次の瞬間、彼女と加奈さんのパワフルな太鼓が鳴り響いて、フィナーレ!
ステージで何が起こったのか分からないけど、音が、空気が、彼女の中の何かが、ある瞬間に、動いたのだろうなと思います。

野村さんが最後の挨拶で、「最後の瞬間、未来がテーマだけど過去のことを思った」という趣旨のお話をされました。過去から現在へ、そして未来へ。それらは別個のものではなく、一続きのものであり、体験した人がそこにいて思いがある限り、過去へも未来へも行き来できるんだ、と思いました。

『未来は高みへ、過去は深みへと開かれている』
小川洋子の小説にあった言葉を思い出しました。

最後の挨拶で、糸井先生が「ドリームコンサートには第0回があり、それは音楽室で、20名ほどではじまった。いつか体育館をいっぱいにしたいと思っていた」というお話をされました。
だれもがそこにいて楽しめる、あたたかで楽しいコンサートをつくることは、本当はとても難しい。でも、平盛小のドリームコンサートは、そのことを1度もあきらめず、つくりあげてこられた。すごいことだと思います。

平盛小のみなさん、糸井さん、アーティストのみなさん、本当にお疲れさまでした!
by ide_h | 2009-01-26 16:52