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ホスピタルサーカス

滋賀県守山で行われた、
ホスピタルサーカス第1回公演 空想力学的さんぽ図鑑」に行きました。
会場は、滋賀県立小児保健医療センターの広場。
ホスピタルサーカスは、エイブルアートオンステージ第4期参加企画として、
病院でアートプロジェクトを展開している団体です。
その活動内容もさることながら、
代表の坂井基紀さん、アーティストの井上信太さんをはじめ、
めくるめく紙芝居にゆかりのある人々が運営に参加していて、
とても他人事と思えず、こっそりと活動を見守っていました。

2007年11月から、14回にわたって、入院・通院している子どもたちや
その周囲の人々を対象にワークショップを行っていたそうで、
半年間の集大成としての、今日の公演です。

小児保健医療センターに到着すると、お庭が楽しいことに!
巨大な櫓が組まれ、テントが張られています。
プログラムやおまけ(記録DVD)や絵本などをもらって、開演を待ちます。

定刻になり、代表の坂井さんの挨拶。
そして、開演。ですが、この舞台はノーキャストで、庭にあるさまざまな装置に糸が張られ、
隣接した病室から子どもたちが糸を引っぱって装置が動くしくみ。
受付で配られた絵本にそって、お話が展開されます。

あらすじをチラシから抜粋すると・・・
「ゾウ君とキリン君はいっしょに仲良く暮らしていました。
ある朝キリン君がいなくなってしまい、ゾウ君は星から
星へとキリン君を探す旅に出ます。羊の星や不思議なビニール星人の棲む星など、
様々な生き物や音楽と出会い、
ゾウ君は成長していきます。
願い星はゾウ君の願いを叶えてくれるのか?
ホスピタルマンとは何者なのか?
そして、ゾウ君は再びキリン君と会う事はできるのでしょうか?」

物語の展開にそって、これまでのワークショップで作られたものたちが登場したり、
さまざまな工夫を凝らされた装置が動きます。

ヘンテコなたくさんの動物が動いたり、
不思議なスピーカーから楽しい音楽が流れたり、
水が入ってきらきらする透明のビニール手袋が天からすべり落ちてきたり、
紙の雪が小屋の窓から吹き出したり、
体にいっぱい空気のはいったビニール袋をつけたホスピタルマンが登場したり、
見覚えのある花電車がでてきたり、
巨大な怪物が動いたり。

これらを構成しているものは、これまでワークショップに参加して、
病院から退院していまはもういなかったり、
今日は事情で来られなかったりした子どもたちを含む
ホスピタルサーカスに触れた人々の痕跡なのだなと思いました。
そして遠くは、同時期、別の場所でがんばっていた
めくるめく紙芝居の痕跡も、残り香みたいに残っている。

それで、こう思いました。
人々が生きている限り、物事は動いていくし、変わっていくし、
どんなにそれが素晴らしくても、だれもそれを留めることはできない。
いつか必ず違うものになってしまったり、会えなくなったり、
消えてしまったりするのだけれど、
その時間、できごと、その人が存在していた痕跡や記憶はちゃんと残され、
別の場所でそれらは生きつづけるんだなあ・・・だから寂しくないんだなあ、と。

そして、一見関係なさそうなことでも実は全部つながっているということは
別に不思議なことでもなくて、それはすごく当たり前のことなんだなあ、ということを、
この作品は見せてくれたように思います。

終演後も、お客さんは舞台の装置に興味しんしん。
とっても凝っていて、ひとつひとつが素敵で、楽しい。
残っていたお客さんが装置で遊んだり、そのへんにあった楽器を演奏しはじめたり。
こういう空気が作れることが、とても素敵だなと思いました。

帰宅してから、14回分の活動レポートやインタビューまで掲載されている
パンフレットを熟読。関係者の苦労や、迷いや、楽しさや、
病院との信頼関係ができていくさまがよく分かって興味深いものでした。
ワークショップの記録DVDも素晴らしいできでした。

ホスピタルサーカスの活動が、ぜひ、なんらかの形で続いていくといいなと思います。
そして、今回の公演もまた、ひとつの痕跡として、
関わった人々をつなげていくんだろうな。
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by ide_h | 2008-04-25 20:39 | アート