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こども、アート、日々。

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企業とアートNPOのこれから

大阪の国立国際美術館「三つの個展:伊藤存×今村源×須田悦弘」に行く。
国立国際美術館は、中之島に移転してから初めて。

今村源さんは、日常のものにちょっとした仕掛けをして「あ。」と思わせる作品。
モチーフは身近な家電だったりで、とても親しみやすい。

須田悦弘さんは、以前の「こっそり感」のある作品ではなくなっていたけれど、
やっぱり、作品自体がすごく美しい。以前アサヒビール大山崎山荘美術館で
展示されていた「睡蓮」が、ブースも天窓もそのまま再現されていたので、驚いた。

伊藤存さんは、ひとりで見てもよくわからないのだけれど、
一緒に来た方と話して、いろいろ足りない部分を想像しながら見ていくと、
たくさんのことが見えてきて、とてもとてもおもしろい。
まさに「対話型鑑賞」的作品。

いいのか悪いのか分からないが、
美術館は(・・・人がいなくて)静かで、ゆっくり、のんびり
作品を鑑賞することができた。
ミュージアムショップも充実していて、「伊藤存」Tシャツを思わず購入。

向かいの「graf」のカフェでお昼をいただいて、タクシーで
京橋のPAMO(舞台芸術・芸能見本市・2006大阪)のセミナーへ。

セミナーは「お答えします!いまさら聞けない企業への疑問
~アートと企業のパートナーシップのために~」
(パネリスト/甲斐賢治さん@NPO法人remo/NPO法人recip、
嶋田実名子さん@花王(株)、吉村真也さん@TOA(株))で、
企業へのファースト・コンタクトから事業終了後までの疑問が、
すばらしい資料とパネリストの的確な答えで解消されていく。
企業側のコメントの中には厳しい(てゆうか、社会的には常識の)
ものもあり、耳が痛い・・・。

でもその「社会的常識」すらまともに遂行することができない
アートNPOの運営の厳しさ、というものは現実にある。
人材とお金と時間が、絶対的に足りないのだ。
(「子どもとアーティストの出会い」も常勤は実質、私ひとりだし・・・)

NPO側からはそのようなコメントも出た。
さらに「そもそもアートは社会の中の“他者”である。その上で
企業はアートに何を求めるのか?」という本質的な質問も。

・・・「アートNPOが企業にできることって、なんなんだ?」と考える。
もちろん、「次世代の育成」とか「日本の文化振興」とか
「社会を豊かにする」という大きな共通目標があり、
それをNPOは実践し、企業は資源を提供し・・・というのがメセナの考え方ですが、
それだけでなくて企業(メセナ担当者)が
「この事業に関わってよかった!」「このNPOと出会ってよかった!」
と思える、さらにはメセナを通して新しい課題に
チャレンジしていけるようにするにはどうしたらいいのだ、と。

そこまでしないと、アートNPOと企業の関係は
先細りになってくるんじゃ・・・と不安になってしまう。
でも、それは本当に難しいし、現状はあまりにも遠い。
土壌がない上に、そこまででの能力を持つ人材も企業もごく限られている。
・・・が、そう考えてしまうと絶望的な気持ちになるので、
せめてできることからやっていきたい、です。(飲み会とか)

終了後は、近くの居酒屋で打ち上げ。
パネラー、企業メセナ協議会のお姉さま方、学生さんも交えて、
思い出話をしたり愚痴ったり冗談とばしたり、楽しい夜となりました。
by ide_h | 2006-07-29 20:20 | アート