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こども、アート、日々。

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よみふける

時折、突然、本(しかも随筆)が読みたくなる。
今日もその「波」がきたので、仕事を終えて本屋に直行し、
藤田嗣治『腕(ブラ)一本』と白洲正子『かくれ里』、
堀江敏幸『もののはずみ』を購入。

御所の東、京極小学校の隣にあるカフェ
「THE GREEN」でビールの小瓶を注文し、
とりあえず堀江敏幸から読み始める。
堀江敏幸は芥川賞を受賞した『熊の敷石』から好きな作家。
言葉のいいまわしや、文章の構成がいつも、
ちょっと洒落た感じにひねられていて好きだ。

『もののはずみ』は堀江がパリの蚤の市をまわりながら集めた
ガラクタを、簡単なエピソードと写真によって解説していく随筆。

ドアノブや、バスの表示ランプ(乗客が「降ります」ボタンを押したときに
運転席で点滅するやつ)や、ハンガー10本や・・・
本当に、「なんでそんなものを・・・」と思ってしまうものを
何らかの事情で購入していく作者。

堀江敏幸の文章は、あるささいな言葉から、とんでもないところに
物語がふくらみ、最後の一行でぴたりと元の位置に着地する。
そんなどこへ連れて行かれるかわからないスリル
(しかし、それはけして危険なものではない)がたまらなく気持ちいい。

読み終わると、とっぷり日も暮れていて、ビールも飲んでしまったし、
おなかも空いてきたので自転車に乗って家に帰った。
by ide_h | 2006-08-10 22:06